商業登記とは、法務局の商業登記簿に会社にとって重要な情報を登記する手続きです。
登記をすることによって会社にとって重要な情報を広く一般に公示することができ、
取引を安全に行うことができるからです。
この手続きをしなければ会社として認められないため、会社を設立する時は必ず会社設立の登記申請を行います。
また会社にとって重要な情報が変更された時も必ず変更登記を行います。
さて、日本の中小企業では経営者の高齢化が進み、多くの起業で事業承継の必要性が生じていると思いますが、
事業承継が発生した際に考えられる「役員変更」「種類株式の変更」「定款変更」「解散・清算結了」「信託」
「遺言書の作成」「成年後見制度」の活用などは司法書士がその力を発揮します。
当事務所にご依頼して頂ければ、必要書類の作成から申請までしっかりとサポートさせていただきます。
会社には、「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4形態があります。
合資会社と合名会社は社員(出資者)の責任が重いため設立されることは少ないです。
一般的に設立されることが多いのは株式会社と合同会社になってきます。
株式会社 | 合同会社 | |
登録免許税 | 資本金の額の0.7% 最低15万円 |
資本金の額の0.7% 最低6万円 |
定款認証手数料 | 5万円 | 定款認証が不要 |
定款に貼る印紙代 | 4万円(電子定款の場合不要) | 4万円(電子定款の場合不要) |
役員(社員)の任期 | あり | なし |
責任 | 出資の範囲内 | 出資の範囲内 |
決算公告 | 必要 | 不要 |
メリット | 認知度が高く社会的信用があり 資金調達がしやすい |
出資額に関係なく利益の配分を 社員間で自由に決定できる 経営の自由度が高い |
株式会社の取締役の任期は原則として2年、監査役4年となっています。
ただし非上場企業のような譲渡制限株式を設けている株式会社の場合は、
その任期を最大10年に伸長することができます。
そして役員の任期が満了すると新たに役員の選任を行い役員変更登記をする必要があります。
また、現在の役員が任期を満了し改めて就任することを重任といいますが、
たとえ同じ人が役員に就任する場合であっても役員変更登記をする必要があります。
会社の登記は、原則として変更があってから2週間以内に登記をする必要があります。
変更登記を怠った場合、会社法976条「100万円以下の過料に処する」の定めにより過料が掛かってくる可能性が
あり、それを支払わない場合には民事上の強制執行として、代表者個人の財産を差し押さえられることがあります。
最後の登記から12年以上登記がされていない株式会社は「休眠会社」とされます。
このとき法務局から届く通知に対して2ヶ月以内に「事業を廃止していない」旨の届出をしなければ、
会社は法律上解散したものとみなされてしまいます。
みなし解散には救済期間が設けられています。
登記官の職権でみなし解散が登記されてから3年以内に会社継続決議を行って会社継続登記を行えば、
株式会社として復活することができます。
会社を解散すると解散したことを広く一般に公示するため法務局で解散登記の申請を行う必要があります。
また、解散によって会社は精算手続きに移行するため精算事務を行う清算人を選任する必要があります。
そして会社は解散登記の申請を行っても直ぐに消滅することにはなりません。
精算が結了し、はじめて消滅することになります。
精算が結了したことも広く一般に公示するため法務局で精算が結了した登記の申請を行う必要があります。
会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができます
(会社108①)
種類株式 | 株式の内容 |
①剰余金の配当 | 剰余金の配当につき、内容の異なる種類株式 |
②残余財産の分配 | 残余財産の分配につき、内容の異なる種類株式 |
③議決権制限株式 | 株主総会において議決権を行使することができる事項について 制限のある種類株式 |
④譲渡制限株式 | 譲渡による当該種類株式の取得について、会社の承認を要する旨の種類株式 |
⑤取得請求権付株式 | 当該種類株式について、株主が会社に対してその取得を請求することが できる種類株式 |
⑥取得条項付株式 | 当該種類株式について、会社が一定の事由が生じたことを条件として これを取得することができる種類株式 |
⑦全部取得条項付(種類)株式 | 当該種類株式について、会社が株主総会の決議によって その全部を取得することができる種類株式 |
⑧拒否権条項付株式 | 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会または取締役会、 清算人会設置会社にあっては株主総会または清算人会)において 決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類株式の種類株主を 構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とする種類株式 |
⑨役員選任権付種類株式 (株式譲渡制限会社のみ) |
当該種類株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役 (監査等委員会設置会社にあっては、監査委員である取締役または それ以外の取締役)または監査役を選任するものとする種類株式 |
議決権より配当に興味がある株主に対して剰余金の配当を優先する株式を発行して議決権制限株式にする事で、
会社にとって議決権を行使されたくない場合はメリットがあります。
事業承継において、会社の一株当たりの価格が高い場合には種類株式を導入し、議決権のある株式と
議決権のない株式に分け議決権のある株式のみを長男に引き継がせ残りを他の者に引き継がせることができます。
事業承継において、生前に後継者である長男に株式を引き継がせる場合、
まだ経験が浅くしばらくは安心して任せることが出来ない場合に拒否権条項付株式を発行して
前経営者が取得することによって、望ましくない決議が可決されてしまっても拒否権を持つことになります。
つまり前経営者の承諾が必要になり実質的に発言権を保持し続けることができます。
実費は別に必要です。
会社設立 | 10万円~ |
役員変更 | 3万円~ |
種類株式の発行 | 10万円~(1種増える毎3万円) |
本店移転 | 4万円~(別登記所管轄への移転+3万円) |
支店設置 | 5万円~ |
支店廃止 | 3万円~ |
解散・清算人選任 | 6万円~ |
清算結了 | 5万円~ |
定款の再作成 | 2万円~ |